埋め込み分析とは

埋め込み分析とは、スタンドアロン プラットフォームから、アプリケーション、ポータル、Web サイトに至るまで、顧客向けの分析コンテンツを直接埋め込む機能です。

埋め込み分析を組織に導入すると、レポート、ダッシュボード、モデル、データのビジュアル化、その他の形式のビジネス インテリジェンス (BI) を、1 つのインターフェイスに統合し、最新のデータ エクスペリエンスを提供できます。この合理化されたビューを活用して、より明確に分析を把握して詳細なインサイトを導き出し、データに基づく意思決定をすばやく実現しましょう。

埋め込み分析ツールの使用方法

ここまでは、埋め込み分析の定義について説明しました。次に、埋め込み分析の用途、 動作の仕組み、活用方法についてご案内します。

最新のデジタル業界では、必要な情報をユーザーに簡単に提供できるデータを活用した企業文化を、多くの企業が追及しています。ところが、データの統合、管理、分析、保護、共有にまつわる課題によって、必要な規模での実現が妨げられています。そこで埋め込み分析の出番です。

組織、独立系ソフトウェア ベンダー (ISV)、ソフトウェア開発企業は、埋め込み分析ソリューションとソフトウェアを活用し、新しいコンテキスト、効率、価値を、既存のデータから引き出しています。企業は、埋め込み分析によってデータ ソースと BI ツールを統合することで、データの読み取り、分析、保護を、使い慣れた 1 つのインターフェイスで簡素化できます。そしてソフトウェア企業は、埋め込みレポート ツールによって、構築したアプリにレポートとビジュアルを導入し、時間とリソースを節約しています。

従来の B I と比較した、 埋め込み B I のメリット

従来の BI とは、1 つまたは複数のソースからデータの収集、変換、マイニング、ビジュアル化、モデル化、保護を行う、一連のツールやプロセスを指します。歴史的に、こうしたツールやプロセスは、大規模なデータセットの傾向をプログラムで明らかにするために、主にデータ アナリストが使用してきました。一方、現在の最新プラットフォームは、ビジネス ユーザーにも優れたセルフサービス オプションを提供します。さらに取得したインサイトを、レポート、ダッシュボード、チャート、グラフの形式で、組織全体と共有できます。

埋め込み BI は、従来の BI と同じメリットを提供するだけでなく、ユーザーが広く利用しているアプリにコンテンツを配置し、コンテンツの利用範囲を拡張します。たとえば営業チームは、最新の指標をすべて 1 か所で確認できるように、CRM システム、メッセージ アプリ、社内ツールに、ストリーミング フィードを埋め込む必要性を抱えている場合があります。これにより、連携した統合アプリ スイートにデータが解放され、新しい強力なツールで、より効率的なチームのコラボレーションを実現できます。

埋め込み分析と API 管理

アプリケーション プログラミング インターフェイス (API) の対応なくして、埋め込み分析は実現しません。アプリは API を利用し、さまざまなプロトコル要求を通じて相互に通信します。この仕組みによってサードパーティ コンポーネントをシステムにプラグインでき、さまざまはツールを独自に構築する必要が無くなります。さらに、2 つのシステムの接続が確実に維持されるため、一方のコードに対する変更が、もう一方にもセキュアかつ高い信頼性で反映されます。

現代の最も革新的な組織は、ワークフローの合理化、成長促進、イノベーションの加速を実現するために、API を中核とするアーキテクチャを採用しています。その理由は、API が新機能を統合の形式でアプリに導入し、付加価値、柔軟性、セキュリティをもたらすためです。インターフェイスの外観と操作性によって、統合は BI コンテンツ (データ ソース、ダッシュボード、レポート、その他のアドオン) の埋め込み、管理、自動化、カスタマイズを行う方法を決定します。さらに統合は、コンテンツの相互作用についても定義します。これは通常、トークンを生成して、サーバー側に存在する情報へのアクセス許可をアプリに付与することで実現します。アクセス許可が付与されると、その情報がクライアント側にコピーされます。

大規模な組織の日常業務では、社内向けと社外向けの API を、数千には及ばずとも、数百は使用しています。トラフィックの最適化、シングル サインオン (SSO) などの機能によるユーザー認証、セキュリティとコンプライアンス要件への準拠、最新 API のすばやい展開など、埋め込みエクスペリエンスを構築する上で考慮するべき重要なすべての要素には、効果的な API 管理が不可欠です。

埋め込み分析の実装方法

埋め込み分析ソリューションの設計と実装を行う際は、まず組織の性質と規模を定義して、高水準のビジネス目標を定めることから始めます。その目標は、組織の業務プロセスを合理化することでしょうか、それともアプリの市場投入を加速することでしょうか。すべてのデータ ソースとツールを CRM に統合する必要がありますか。または、そのまま利用できる分析機能を顧客に提供していますか?

また、エンド ユーザーも考慮する必要があります。どのような人が利用しますか? そのユーザーは発生したデータをどのように利用しますか? 最も大きな価値をもたらすのは、どの機能ですか? 顧客のニーズに合わせたユーザー エクスペリエンスを提供する際には、このような視点が役立ちます。

次に現在のインフラを評価して、上手く機能している機能、これから改善できる点、求められる機能を社内で構築するか、すぐに使えるソリューションを購入するかを見定めます。独自に構築するか、 購入すべきかどうかは、製品に求められる機能、タイミング、予算、リソースの空き時間、全体的な投資収益率など、多くの要因に依存します。すべての組織が異なるニーズを抱えていますが、購入を決定する場合は、その BI ソリューションが簡単な埋め込みを実現する API 統合を搭載しているかどうかを確認すべきです。

最後に、セキュリティ、認証、データ保護について計画を立てる必要があります。ここでは、データへのアクセスを社内ユーザーと外部ユーザーに対して管理する方法や、認証方式を検討します。要件に応じて、API 接続をセキュアに保ち、トラフィック フローを管理して、暗号化を導入する方法を決定します。さらに、選択した地域で定められた規制に対して、BI コンテンツがデータ所在地とコンプライアンス要件を満たすことを確認する必要があります。

埋め込み分析ソリューションとソフトウェア

ここまでに開始する方法を説明したので、次におすすめの埋め込み分析ソリューションとソフトウェアについて詳しく見ていきましょう。抱えているニーズの性質と複雑さは、投資するべきツールとテクノロジを判断する上で役立つため、調査を行う必要があります。

まず最初にスタンドアロンの BI ソリューションを検討します。このソリューションには、サードパーティのデータ ソースを統合し、そのデータをセキュリティ ツールで保護する機能が求められます。最も重要なポイントは、ユーザーが必要とするデータ、ツール、インサイトを利用するための機能です。Power BI などのデスクトップ ソリューションは、直感的なインターフェイスと強力な分析機能を兼ね備えており、対話型レポート、データのビジュアル化、モデルの、作成、分析、共有を実現します。さらに、組織のインフラのニーズに応じた、スケールアップとスケールダウンにも対応しています。

BI ソリューションを評価したら、次のステップで埋め込みの用途を確定します。社内向けの埋め込み を検討している場合、社内のユーザーに重点を置いたクラウド ソリューションを検討するべきでしょう。このシナリオでは、埋め込みコンテンツを利用する際に、それぞれのユーザーにライセンスを付与する必要があります。ユーザーが社内アプリやツールにログオンすると、ソリューションがログイン資格情報を要求します。大規模な組織は、大勢のユーザーが抱えるニーズを広く満たすために、埋め込み機能を搭載する、Power BI Premium のようなエンタープライズ グレードのクラウド ソリューションを検討しましょう。

顧客向けの埋め込み を検討している場合、ライセンスやログイン資格情報を持たない外部ユーザーに対して、埋め込みコンテンツを利用可能にするソリューションの検討が必要です。このシナリオでは、アプリの組み込み機能としてホワイト ラベルに対応した BI ソリューションが必要です。ソフトウェア企業は、開発時間、コスト、リソースの節約と、ユーザーに提供する価値を両立させるために、Power BI Embedded など、ホワイト ラベルに特化して開発されたクラウド ベースの埋め込み分析ソリューションを検討するべきです。